A Room with a Veiw 眺めのいい部屋

備忘録や、趣味、仕事の話など

『パリ、テキサス』

私にとって映画ってこういうこと、こう言う作品なんじゃないかと思った。

設定自体は驚くようなものだったとしても、会話は突拍子もないものではない。市井の人たちの日常が描かれて、少しずつ謎が解けていって、徐々に登場人物の気持ちがわかってきて、じんわりしたり、納得がいったりする。

ずっと姿をくらましていた死んだと思われていた兄が見つかり、込み入った事情が少しずつ解けていく。兄の硬く閉じられた口や心は、弟の家に向かうドライブで徐々に開かれる。どうして幼い息子を弟夫婦に預けて二人が消えてしまったのかは、最後に夫婦が語り合うシーンでようやく明らかにされる。3歳で弟夫妻に預けられた息子は育てくれた両親を本当の親として生きてきた。4年も経ってから突然現れた本当の父親に対する態度や心の動きも丁寧に描かれている。息子の気持ちのもまた、母を捜すための父との冒険(ドライブ)に寄り添い、物語も展開していく。

最近の作品はついていくのに疲れてしまうから観なくなっていたのだ。こんな作品だったら相変わらず見たいのだ。

ゆったりとした会話や独白が中心で平易な英語でアクセントもきつくないため、英語学習者(中級)にもオススメの作品。事前情報なく見始めたので、本当にパリとテキサス州の話なのかと思ってました笑!