A Room with a Veiw 眺めのいい部屋

備忘録や、趣味、仕事の話など

誰も知らないことは、こうして気づかぬうちに起きているのだろうけれど、気付こうと知ろうとしなければいけない

映画『誰も知らない』を観ました。

非常にヘビーな物語が淡々と進んでいく。育児放棄をした母親が家に戻らなくなってからも、時に子供らしい表情を見せつつ、長男のしっかりとしたリーダーシップにより家庭生活はなんとか回っている。程なく子供たち一人一人の我慢が飽和状態になるが、その様子の描き方が見事だった。これで、ようやくキレることができる。バランスが崩れて兄弟姉妹の団結も危うくなる。そこから先も本当にヘビーな出来事が続くが、彼らの生活もまた続くのだ。それにしても柳楽優弥を初め、出演者の瑞々しい演技(演技なのだとしたら)や、表情が訴えかけるものは凄まじい。こんな表情を撮れる監督に脱帽。

私がいじめをきっかけに中学に行かなくなったとして、その時に明に出会ったら、同じことをしただろうか。社会的・経済的弱者だったとしたら、働きたいという12歳の明に何と言ってあげられるだろうか。